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定款の目的はどう書く?後悔しない記載例とNGワードを専門家が解説

会社設立時に悩む「定款の目的」欄とは

会社を設立する際に避けて通れないのが「定款の作成」です。
定款とは、会社の根本的なルールを定めたもので、設立登記の際には法務局に提出する会社の憲法のような書類です。

この中でも特に悩む人が多いのが「目的」欄。
「どんな事業をする会社なのか」を示す部分であり、登記に欠かせない必須項目です。

しかし、実際に定款を書く段階になると、

  • 「どこまで具体的に書くべき?」

  • 「副業や将来やりたい事業も書いていいの?」

  • 「定款にNGワードってあるの?」
    と迷う方が少なくありません。

この記事では、会社設立の専門家(税理士・行政書士など)が実際に注意している
**「目的の正しい書き方・失敗例・後悔しない記載方法」**を、わかりやすく解説します。


定款の「目的」欄に書く内容とは?

定款の目的欄には、会社が営もうとする事業の種類や範囲を記載します。
この部分は、会社の活動範囲を示すだけでなく、法的にも重要な意味を持っています。

定款の目的の役割

  1. 登記上の必須項目
     登記申請時に目的が不明確だと、法務局で「補正(修正)」を求められます。

  2. 事業活動の範囲を決定する基準
     会社は定款に記載した事業しか行えません。
     記載されていない事業を行うと、取引先や銀行から「定款外業務」と判断されるリスクがあります。

  3. 取引先・金融機関からの信用判断材料
     目的欄は登記簿謄本に記載されるため、誰でも閲覧可能です。
     そのため、会社の信用力にも関わる項目です。


定款の目的をうまく書けないと起きるトラブル

目的の書き方を誤ると、後々の運営で思わぬ支障が出ます。
ここでは実際によくある失敗例を紹介します。

トラブル例①:銀行口座が作れない

目的が「曖昧」「抽象的」「社会的に問題がある」内容だと、銀行が口座開設を拒否することがあります。
特に「コンサルティング業」「サービス業」だけでは事業内容が不明確と判断されやすいです。

トラブル例②:補助金・助成金の申請ができない

補助金制度では、「定款の目的に関連する事業」であることが支給要件になります。
目的に書かれていない業種だと、「対象外」と判断されることがあります。

トラブル例③:後から事業を追加したくなった

最初に書き忘れた事業を追加するには、定款変更と登記変更が必要です。
費用(登録免許税3万円)や手間がかかるため、最初に余裕をもって書くことが大切です。


目的欄を作成する3つの基本ルール

目的欄を正しく書くためには、以下の3つのルールを押さえることが重要です。

① 合法的で明確な表現にする

目的は「合法かつ具体的」でなければ登記できません。
法務局が判断するポイントは以下の通りです。

判定ポイント 登記が通らない例 登記が通る例
不明確な表現 「あらゆる事業」 「経営コンサルティング業」
違法な内容 「金融業」「投資業」 「投資助言・代理業(登録制)」
意味が曖昧 「サポート事業」 「中小企業向け経営支援事業」

登記官は「第三者が見て理解できるか」を基準に審査します。
そのため、略語や業界スラングは避けましょう。


② 今後行う可能性のある事業も入れる

現時点でやっていなくても、将来やりたい事業も記載しておくのがポイントです。
後から事業を追加する手続きは時間と費用がかかるため、想定事業を含めておく方が効率的です。

例:

  • 現在:経営コンサルティング

  • 将来:オンラインスクール運営、動画制作、広告代理

→ 定款例:
「経営コンサルティング業」
「インターネットを利用した教育事業」
「広告業及び映像制作業」


③ 業種ごとのテンプレートを参考にする

定款の目的は自由記載ですが、過去の承認実績がある表現を参考にするのが確実です。
行政書士や会社設立サイトのテンプレートを活用すると、法務局の補正を避けられます。


定款の目的の書き方の基本構成

一般的な目的欄は、次のような形式で書きます。

📘基本フォーマット

第2条 当会社は、次の事業を目的とする。 1. ○○業 2. △△に関するコンサルティング業 3. □□商品の企画、製造及び販売 4. 前各号に附帯または関連する一切の事業

最後の「附帯関連事業」という文言は非常に重要です。
これを入れておくことで、定款に直接書かれていない範囲でも、関連する事業を柔軟に行えるようになります。


「目的」のNGワード・避けるべき表現

法務局の審査で拒否される、あるいは銀行が嫌う「NG表現」もあります。

分類 NG例 理由
抽象的すぎる 「サービス業」「コンサル事業」 事業内容が不明確
不正確な用語 「代理店業」「仲介業」 法的登録や資格が必要
誤解を招く 「投資事業」「融資事業」 金融業法に抵触の可能性
倫理的に問題 「交際業」「情報提供サービス」 審査で拒否されるリスク
外国語そのまま 「マーケティング」「プラットフォーム」 日本語訳が必要

登記上では、外来語や流行語も避けた方が安全です。
たとえば「SNSマーケティング事業」なら「インターネットを利用した広告業」と書くのが望ましいです。


定款の目的に追加すべき補助文

「前各号に附帯する一切の事業」以外にも、追加しておくと便利な一文があります。

5. 上記各号に附帯または関連する一切の事業 6. 前各号の事業に付随する国内及び国外の取引 7. 各種セミナー・イベントの企画および運営

このように記載しておくことで、事業拡大の柔軟性を確保できます。

業種別に見る定款の目的記載例

事業の種類によって、目的欄の書き方にはコツがあります。
ここでは、法務局で通りやすく、実務上も使いやすい表現例を紹介します。

1. コンサルティング業

1. 経営及び財務に関するコンサルティング業 2. 人材育成及び教育研修に関する事業 3. 広告及び販売促進に関する企画・立案及び実施 4. 前各号に附帯または関連する一切の事業

→ 「コンサルティング」だけでは抽象的ですが、対象分野を明確に書くことで登記審査をスムーズに通せます。


2. Web制作・IT関連業

1. ウェブサイトの企画、制作及び運営 2. ソフトウェアの開発及び販売 3. インターネットを利用した広告及びマーケティング事業 4. 前各号に附帯または関連する一切の事業

→ 「ITサービス業」や「デジタル事業」では不明確と判断されるため、具体的な作業内容を明記するのがポイントです。


3. 物販・EC事業

1. 各種商品の企画、製造及び販売 2. インターネットを利用した通信販売業 3. 輸出入に関する業務 4. 前各号に附帯または関連する一切の事業

→ 将来的に輸入・OEMなどを行う可能性があるなら、「輸出入」を加えておくと便利です。


4. デザイン・クリエイティブ業

1. グラフィックデザイン及びイラスト制作業 2. 映像、写真、音声等の制作及び編集業 3. 広告及び宣伝に関する企画、制作及び実施 4. 前各号に附帯または関連する一切の事業

→ デザイン系は表現が広がりやすい業種のため、制作物の種類を具体的に列挙しておくと安心です。


5. 飲食・サービス業

1. 飲食店の経営 2. 食料品、飲料及び酒類の販売 3. ケータリングサービス業 4. 前各号に附帯または関連する一切の事業

→ 飲食業は「営業許可」に関係するため、食品や酒類の取り扱い範囲も含めるのが望ましいです。


定款の目的を変更したいときの手続き

事業を拡大したり、新分野に参入したりする際は、定款の目的を追加・変更することができます。
ただし、これは法的手続きが必要です。

手続きの流れ(株式会社の場合)

手順 内容
① 株主総会の特別決議 目的変更を決議(議事録を作成)
② 定款の修正 新しい目的を反映して定款を修正
③ 登記申請 法務局へ目的変更登記を提出
④ 税務署・自治体への届出 「異動届出書」を提出(1か月以内)

※登録免許税は3万円が必要です。

なお、合同会社(LLC)の場合は、社員(出資者)全員の同意で目的変更が可能です。


銀行・税務署・補助金審査に与える影響

定款の目的は、登記上だけでなく、実際の経営判断や審査でも重要視されます。

銀行融資

銀行は融資審査時に、登記簿謄本を確認します。
もし事業内容と定款目的が一致していない場合、
「業務実態が不明」とみなされ、融資判断に影響することがあります。

特に「投資」「仮想通貨」「情報提供」などの表現は、審査が厳しくなる傾向があります。


税務署・補助金

補助金や助成金を申請する際、「定款目的と一致する事業」であることが前提です。
たとえば、補助金対象が「製造業」なのに、定款に「製造販売」がないと不支給となるケースも。

また、税務署に開業届や事業年度の変更を出す際にも、目的内容は照会される場合があります。


定款目的を作成するときの具体的手順

  1. 行う予定の事業をすべて洗い出す
     → 現在+将来3年以内にやる可能性のある業務をリスト化。

  2. 具体的な言葉に置き換える
     → 「SNSマーケティング」→「インターネットを利用した広告業」など。

  3. 行政書士のテンプレートを参照
     → 法務局で通りやすい定型文を活用。

  4. 「附帯関連事業」を必ず入れる
     → 予期せぬ事業展開に対応。

  5. 定款作成ソフトや登記支援サービスを利用
     → freee会社設立やマネーフォワード会社設立など、登記済みテンプレート付きで便利。


専門家に依頼するメリット

自分で書けない場合や、法務局で補正を受けたくない場合は、行政書士や司法書士への依頼が有効です。

メリット

  • 法務局で通りやすい文言を提案してくれる

  • 将来の事業拡大も見据えた目的設計ができる

  • 書類作成から電子定款認証まで代行してもらえる

  • 補正リスクがほぼゼロ

費用は2〜3万円程度が相場ですが、定款の完成度と設立スピードを考えれば十分価値があります。


定款の目的で後悔しないためのチェックリスト

チェック項目 対応
現在の事業内容は明確に書けているか?
将来やる可能性のある事業も入っているか?
抽象的・曖昧な言葉を使っていないか?
法的に制限のある業種(金融・不動産など)を誤記していないか?
「附帯関連事業」を記載しているか?
誤解される言葉(投資・情報提供など)を避けているか?
他の書類(開業届・契約書)と整合性が取れているか?

このチェックリストを元に見直せば、登記補正・銀行審査トラブルを未然に防げます。


定款目的に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 定款に書いた事業をやらなくても問題ない?

→ 問題ありません。将来やる可能性のある事業でもOKです。
 ただし、定款外の事業を行うことは避けましょう。

Q2. 副業や別事業も書いていい?

→ 書いて構いません。
 ただし、本業との整合性が取れないと「実態不明」と判断されることがあるため、自然な流れに。

Q3. 英語やカタカナは使っていい?

→ 一般的な用語であれば可ですが、法務局が意味を理解できるよう日本語訳を付けるのが安全です。

Q4. 登記変更は何回でもできる?

→ 可能ですが、その都度登録免許税や議事録作成が必要になるため、初回で網羅的に書くのが効率的です。


まとめ:定款目的は「今」と「未来」をつなぐ設計図

定款の目的は、単なる登記項目ではなく、
会社の「ビジネスの方向性」と「信頼性」を決める重要な要素です。

  • 抽象的な表現は避ける

  • 将来を見据えた範囲を含める

  • 登記審査で通りやすいテンプレートを参考にする

  • 「附帯関連事業」を必ず入れる

この4つを押さえておけば、後から「定款を変えればよかった」と後悔することはなくなります。
法人設立時は、焦らず丁寧に目的を設計し、将来の成長を支える基盤を作りましょう。

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