お客様の豊かさの最大化を共に叶える、頼れる税務会計のパートナー

共同創業・株主間契約のポイント|トラブルを防ぐ取り決めと実務対応

ビジネスパートナーと成功するための「合意の設計図」

起業をするとき、信頼できる仲間と一緒に始める“共同創業”は心強い選択です。
スキルや資金、アイデアを持ち寄り、ひとりでは成し得ない大きな挑戦ができます。

しかし、現実には**「創業時は仲良しでも、後で関係がこじれる」**ケースが少なくありません。
経営の方向性・株の保有割合・役割分担・報酬…どんなに気心の知れた仲間でも、曖昧なままにしておくと、
後々の“会社の分裂”や“法的紛争”につながります。

この記事では、起業時の共同創業でよく起こるトラブルを防ぐために、
**株主間契約(Shareholders Agreement)**で取り決めておくべき重要ポイントを、
法律・経営・税務の観点から分かりやすく整理して解説します。


なぜ共同創業は「揉めやすい」のか?

役割の不均衡と貢献度のずれ

創業時は「一緒に頑張ろう」という熱量で進みますが、
実際に事業が始まると、時間の使い方・リスク負担・売上貢献などに差が出てきます。

たとえば:

  • Aさん(代表)はフルタイムで営業・資金調達を担当

  • Bさん(共同創業者)は副業的に関わり、開発サポートを担当

同じ株式比率(50:50)でも、時間やリスクの負担が異なれば、
次第に「自分の方が貢献しているのに不公平では?」という感情が芽生えます。

株式の配分が感情を左右する

創業時に「気持ちの平等」で株を分けてしまうと、後に経営権が不安定になります。
株式50:50だと、意見が割れた瞬間に意思決定が止まる(デッドロック)という最悪の状況に陥る可能性があります。

退出・離脱時の取り決めがない

創業メンバーの誰かが退職・離脱した場合、
株式をそのまま保有し続けると、経営に関わらない株主が将来的に口を出すリスクが発生します。
これを避けるためには、**「離脱時の株式処理」**を事前に定めておくことが不可欠です。


株主間契約とは何か?なぜ必要なのか?

会社法だけでは守れない「人間関係のルール」

会社法は、株主や取締役などの一般的な権利義務を定めています。
しかし、創業初期に必要な「関係性」や「想定外の事態」まではフォローしていません。

そこで登場するのが株主間契約です。
これは、株主同士の取り決めを文書化した契約書であり、
「会社の外で守るべき約束ごと」を明文化します。

株主間契約の役割

  • 経営権のコントロール(議決権・取締役選任など)

  • 株式の譲渡制限・買取りルール

  • 出資割合や追加出資のルール

  • 競業禁止や守秘義務

  • 役員報酬・配当・ストックオプションのルール

  • 退出・解散時の処理方法

つまり、株主間契約は**「共同創業者の信頼を形式化する設計図」**なのです。


取り決めておくべき主要項目

① 株式の保有割合と議決権

出資比率と議決権の割合は、会社の意思決定に直結します。
「対等にしたい」という気持ちから50:50にすると、どちらも過半数を取れず決定不能になります。

避けるべき構成

株主 出資比率 リスク
A:代表 50% 意見が割れると決定できない
B:共同創業者 50% 同上

おすすめ構成(シンプルな株式会社の場合)

株主 出資比率 メリット
A:代表 51% 経営判断が止まらない
B:共同創業者 49% 発言力を維持しつつバランスが取れる

株式は信頼関係だけでなく、「意思決定の安定性」を基準に設計することが重要です。


② 役割・職務・責任範囲

契約上で**「誰がどの分野を担当するか」**を明記しておくと、
将来的なトラブルを防げます。

担当領域 具体的な業務内容 成果目標例
代表取締役(A) 営業、資金調達、経営全般 資金繰り安定・売上目標達成
技術責任者(B) システム開発、品質管理 MVP開発完了、納期遵守
経理責任者(C) 会計、税務、給与計算 月次決算処理、税務申告

このように職務と責任を数値化・言語化しておくと、公平性が保たれます。


③ 株式の譲渡・買取りルール

創業者が退職・転職・死亡などで離脱した場合に備え、
株式を第三者に売らせないルールを入れておくことが重要です。

よく使われる条項

  • 譲渡承認条項:他の株主の同意がないと株を売れない

  • 買い戻し権条項:退職時には会社または他の株主が買い取る権利を持つ

  • ドラッグ・アロング条項:大株主が売却する際に少数株主にも同条件で売却させる

  • タグ・アロング条項:少数株主も同条件で売却に参加できる

株主間契約では、株の流動を「ルールで制御する」ことが目的です。


④ 追加出資・資金調達のルール

事業拡大時に資金が必要になった場合、誰がどの程度負担するかを決めておくと安心です。

  • 追加出資は株式比率に応じて行う

  • 参加できない株主には希薄化リスクを説明

  • 外部投資を受ける際の合意フローを定める

VC(ベンチャーキャピタル)投資を受ける予定がある場合は、
「優先株式」や「希薄化防止条項」なども早い段階で専門家に相談すべきです。


⑤ 競業禁止・守秘義務

共同創業者が後に競合ビジネスを立ち上げるリスクを防ぐために、
一定期間の競業禁止を盛り込みます。

例文イメージ

「当社の株式を保有する間および退任後2年間は、同一または類似事業を直接・間接に行わない。」

また、事業情報や顧客データを外部に漏らさないよう、
**守秘義務条項(NDA)**も株主間契約に組み込みましょう。


⑥ 離脱・解散時の取り決め

事業がうまくいかなかった場合、または共同創業者が離脱する場合のルールも不可欠です。

  • 株式の買戻し価格の算定方法(簿価・市場価値など)

  • 残務処理や顧客対応の分担

  • 会社資産・知的財産(商標・ドメイン等)の帰属

これらを明確にすることで、「別れ際の揉め事」を防止できます。


実際のトラブル事例から学ぶ

事例1:50:50の持株で経営停止

A社では、創業者2人が均等出資。意見が割れて取締役会が開催できず、資金調達も不可能に。
→ 結果:第三者株主を導入して解決するまで半年以上かかった。

事例2:離脱した共同創業者が株を保有し続けた

B社では、初期メンバーが途中で退職。しかし株を持ったまま別会社を設立。
→ 結果:競合関係に発展し、株式の買戻しで裁判に。

事例3:貢献度の不均衡で報酬トラブル

C社では、代表が全時間を投下し、もう一人は副業的に関与。
→ 結果:業務量の差が不満となり、離脱後に「不当報酬請求」トラブルに発展。

これらはすべて、**契約で想定していなかった“人の変化”**が原因です。


株主間契約書の作成ステップ

  1. 全員で共通認識を持つディスカッション

    • 貢献内容・役割・株式比率をオープンに話し合う

  2. ドラフト(たたき台)を専門家に依頼

    • 弁護士・司法書士・税理士と連携

  3. 署名・捺印と保管

    • 電子契約も可(クラウドサイン・DocuSignなど)

  4. 更新ルールを設定

    • 年1回の見直しや追加条項の取り決めを明文化


株主間契約をサポートする専門家

専門家 主なサポート内容 費用目安
弁護士 契約書作成・交渉支援 10〜30万円
司法書士 登記・株式管理 5〜10万円
税理士 出資・配当・譲渡の税務 顧問料制(要見積り)

スタートアップ支援を得意とする専門家を選ぶと、将来的な資金調達やIPOにも対応できます。


共同創業を成功させる3つの心構え

  1. 「信頼」を“契約”で守る意識を持つ
    口約束ではなく、紙で残すことで関係を長続きさせる。

  2. 感情ではなく「ルール」で判断する
    トラブル時に冷静に対応できるのは、契約があるから。

  3. 契約は作って終わりではない
    会社の成長に合わせて、定期的に見直すことが重要。


これから共同創業をする人への実践ステップ

  • 株主間契約の雛形を入手して内容を理解する

  • 出資比率・役割・離脱条件を明文化する

  • 弁護士・税理士など専門家に相談する

  • 電子契約サービスで署名・保管する

  • 年1回の見直しを習慣化する

「信頼関係があるから契約は不要」と思うのは危険です。
むしろ信頼しているからこそ、お互いを守るための契約を結ぶことが、プロの経営判断といえます。

Contactお問い合わせ

お問い合わせフォーム